地方色豊かな月餅
1.広式(広東式)月餅
月餅の表面となるのは、独特な木型で抜き取り焼いた物で、その表面はきつね色に仕上げられ、しかも皮は極薄く中身のあんとピッタリ寄り添い、ナイフで放射状に薄く切っても型くずれせず、その切り口も美しいものである。
これを広式月餅と言い、中身も贅沢で高価な物に仕上げるには、前述したあん類が各種ある。
中秋には月に見立てた鴨蛋(鴨の塩漬け卵の黄身)をあんの中央に、また大きな月餅には双蛋黄(塩漬け卵2ヶ)を入れる。香港、広東が中心の広式月餅であるが、近年は上海はもちろん、北京もこの広式月餅が売られている。
2.蘇式(蘇州式)月餅
蘇式月餅は料理でも甘い味が多い江蘇省、浙江省、上海あたりではパイ皮で作るのが主流である。
最近は、広式の皮を使う店も増えてきているので、蘇州式月餅は昔より少なくなっている。精進料理の郷でもあり、精進のあんが多い。中秋にはレストランを休業し、月餅作りにいそしむ名店もある。
3.その他の地方月餅
月にみたてた月餅は、基本的には月のように丸くうすい平たいものを餅(ピン)と呼ぶので、その厚みはないが雲南省では、雲南火腿が有名でこれを刻んだものが小高く丸く厚みのある月餅に焼き上げる。その皮は素朴なうすいパン生地のようなもの。台湾では、この小高い形でパイ皮の月餅がある。ハスの実あんにくるまれた塩卵が1ヶ入っている、これは大変美味である。
中国のレストランでは、中秋には宴会用に一卓分、一個の特大月餅を用意し、ケーキのように皆で食べられるよう切り分ける大型月餅もあって、団円(一家団欒等の意味)の意が強い。