中国の祭日 十二月の四方山話 (よもやまばなし)
師走の忙しさの中、クリスマスで街も華やかに常に賑わっています。そして新年の準備などもあってか(旧暦)12月8日の中国の祭日というのは、あまりきかないことかも知れません。この日を臘月(ろうげつ)(旧暦12月)、初八は臘日(ろうじつ)で「臘八(ラーパー)」ともいっています。
史記の「秦本記」にはじめて臘祭を行ったとありこれは紀元前326年のことで起源がきわめて古いのです。臘とは猟のこと狩猟で獣を獲って先祖を祭祀すること。
この臘日には特別の節物(祭に食べるもの)があったのですが今に伝わる「臘八粥(ラーパーヂュウ)」と「臘八蒜(ラーパースワン)」が重視されてきたのには、きっとこんなおはなしがあったからではないでしょうか。
仏祖の釈迦牟尼が12月8日に飢えていたとき牧女が作ってくれた果物入りの粥を食べ菩提樹の下で静思して成仏したといわれているのが「臘八粥」でした。
南宋代の「武林旧事」にも「寺院と人家はみな臘八粥を作る」とあるようなので、私共の香饗乃集いでは予約した日がちょうど12月8日で旧暦ではないものの皆様に知って頂きたいと思いましたのでトゥーランドット「臥龍居」のオープンに寄せて宴をお願いし、オーナーシェフ、脇屋友詞氏に作っていただきました。秋の実りの幸はなつめや栗、柿や松の実、胡桃などですが冬の頃ですからフルーツはドライフルーツを使います。特に送りあう節物には色どりもよく考え重宝して用いられ、この粥も、贈りあったようです。
贈りあった節物では何といっても中秋月餅が有名。あんにはこれらのナッツやドライフルーツも生地との相性は抜群です。
月餅と月果(中秋の時におそなえする果物。主にスイカ等瓜類)は親戚同士で互いに贈答しあうものです。今年の日本の合言葉"絆"家族や友人を大切にすることで中秋節を『団円節(トワンユエンヂエ)(満月と共に一家団欒の意)』ともいうのです。そしてこの月餅も又「団円餅(トワンユエンビン)」ともいわれ、余れば乾燥させ風通しのよい涼しいところにしまっておき、年末に家中で分けあうのも団円餅であり(明代の「酌中志」)又月餅を残しておいて除夕(大晦日の晩)に食べるものもいる。これを団月餅というと清代の「燕京歳時記」にもあるようです。
どうやら月餅は人と人とを繋ぐ絆菓子であるようですね。